●通称ミルメモ

「王立ミルシア学園第一話メモリアル」 \1500

(帯とジャケット)
*収録曲*
1、いんとろだくしょん
2、朝の会
3、てゆーか、チョー好き
4、きゅうけいじかん
5、エンブレス〜ロスト・イン・ザ・レイン〜
6、給食
7、トキメキ☆アフタヌーン
8、終わりの会
9、漸増
10、次回予告
11、漂白の空隙
12、朝礼の様子(Live!)
13、漠然とした静寂
14、ボーナストラック
15、第一話次回予告
16,てゆーか、チョー好きKARAOKE
   〜withジェニファー&ブロンソン
<取扱店一覧>
・ライカエジソン(新宿)・模索舎(新宿)
・ロックラブ(原宿)・タコシェ(中野)、他

2000年6月13日 高田馬場AREAで行われたライブの模様を再現。新たに追加されたトラックが9曲!!全曲リマスタリング!!


 頭が悪いことで有名なヴィジュアルバンド「ミルシアエリアーデ」のベストマキシシングル。「友情・努力・勝利」をテーマに、王立ミルシア学園を舞台に4人と1ギロの熱い青春ラブストーリーが繰り広げられるヴィジュアル系ミュージカルの決定盤!
 聴くものの心に痛烈な一撃を加える名曲「てゆーか、チョー好き」。鼻歌で作った「朝礼のようす(Live!)」。メンバーのアニオタぶりが炸裂する「給食」。深夜5時にレコーディングされた狂気、「てゆーか、チョー好きKARAOKE」。こんなCDイヤだ!

 「客の期待を悪い意味で裏切るヴィジュアルバンド」ミルシアエリアーデ、渾身の一作。聴いた後は、話のタネに、友人への嫌がらせに、結婚祝いに、フリスビーにと、大活躍!!
 さあ!勢いよくドブ川に金を投げ捨てろ!!!!

登場人物
山田ギロし(ギロ)・・・病弱だけどがんばりやさん。
癌邪悪(邪悪)・・・いじめられっこで内気な少女。動物と話が出来る。
愛巣クイン(九印)・・・学園を牛耳る女ガングロ番長。
綾小路殺丸(殺)・・・一年生で生兎会長。優等生。
架神鏡子(架神)・・・69組担任。保険医。ギロ部顧問。
ギロ・シュタイナー(ギロ/ニ役)・・・ギロの実父。強大な権力を持つ校長。
クロワ教頭(九印/ニ役)・・・教頭。出てこない。
ミルシアロボ・・・伝説のロボット。出てこない。
英通・・・学園のアイドル。出てこない。

関連
「てゆーか、チョー好き」徹底解析!!!!
「てゆーか、チョー好き」視聴(RealAudio)
王立ミルシア学園壁紙 1024×768 
ミルシアエリアーデ壁紙 1024×768 800×600 640×480
スクリーンセーバー ギロ降臨(97kb)
ギロ起動音 義憤(30kb) , 賛同(20kb) , 衝動(15kb) , 熱血(15kb)


あの“音楽と酒”も絶賛!!!!

 ありえない。全くもって信じがたい。仮にも理性をもって他の動物と分別されるところの人間に、このような蛮行が行えるなど、私には到底信じられない。いったいこの円形の民芸品は、どのような背景を持って、この世に生を受けることになったのか。まずは、私が考え得る限りの出現状況を、ここに書き連ねてみることにする。

1)おっきな病院の、鉄格子のついた病室に収容された患者が、手慰みに製作。
2)突然空からやってきた後ろ髪の長い宇宙人らしき人物が、「幾何学的な形状をしたバッヂ」「肩にワンタッチ装着できるマント」「目まで隠れる深さのヘルメット」「コピーロボット」と共に、ミツ夫に渡した。
3)製作者の偏差値が8。
4)当時まだ零細企業だった某有名多国籍電機メーカーが、カラスよけ専用CDとして開発。
5)「ここ掘れワンワン!」→発掘。
6)エスタークが落とす隠しアイテム。
7)製作者が某有名私立W大学学生。もしくは同大出身者。
8)ヨーロピアン魔殺術奥義「奇跡の円盤(ミラクルディスク)」。

真相は藪の中である。しかし、この純粋に野蛮な意思の塊の中にも、その誕生の謎を解く幾つかのヒントが隠されているはずだ。内容を見ていくことには価値があるだろう。

 賢明な人種であれば、まずこの薄っぺらい記録媒体を手にとらないであろうが、人間誰しも間違いを犯すことはある。そして多くの場合、手にすれば再生してしまう。ここにも習慣の恐ろしさというものが垣間見える。しかし、仮に再生したとしても、まだ過ちに気づき、引き返す――すなわち停止ボタンを押し、すぐさまデカルトの著作を手にとる――ことが、できないわけではない。なるべく早いに越したことはないが、そのひとつのきっかけは再生開始21秒後の「はふーん!」ではないだろうか?少なくとも開始27秒後の「豹柄!」の時点においては引き返すべきことに気づいて頂きたい。
 ストーリーテリングは、コンセプトアルバムにおいてはままあることであるから、冒頭の朗読では一般的コンセプトアルバムという可能性もまだ残っている。ポエトリーディングということも考え得るだろう。また、再生開始16秒後の「ギローぅ」は、単に自己紹介と取ることも不可能ではない。しかしながら、「はふーん!」は凡そ意味のようなものは感じられず、そのような解釈は許されない。まさしく空虚なシニフィアンである。「豹柄!」に至っては、コギャル=豹柄という短絡的思考からくる、純ヰさゆえの残酷な言葉の暴力でしかない。もしここで気づかないのであれば、最早あなたには引き返すのに必要な気力と知力が足りないということだろう。さっさと諦めて、”彼ら”と一緒に大空へ羽ばたくことをお勧めしたい。

 これ以後は引き返すのを諦めた方々のために、このプラスチック製の産業廃棄物を、より深く、より無駄に理解していくポイント解説をすることにする。
 まずはドラマ部から見ていきたい。まだ最初の曲にも入らないtrack2の1分1秒目、あなたはひとつの矛盾に直面する。それは「ガラガラガラガラー、ピシャ!」である。track2冒頭から、必要のない技術を用いてまでサウンド面での演出がなされていることが窺えるにもかかわらず、どこにでもありふれたこの引き戸を開閉する音を、どうして擬音語で表現しなければならなかったのか?いくらでもSEサンプルはあるはずだ。同様の事例はtrack4の19秒目「プーン!シタタタター」をはじめとして、それ以後も随所に見受けられる。
 また、登場人物たちのキャラクター設定にも注目すべきである。この円盤型板クズにおいて、キャラクター設定は非常に緻密に、精密になされている。言い換えれば、キャラクターの描写が良く計算ウれているということである。一聴してそれは納得頂けると思う。それにもかかわらず、いぢめられっこで内気な少女のはずの癌邪悪が「うひぇぅ〜!」「うげぇぇ!」などと、北斗の拳におけるザコモヒカン的悲鳴を上げたり、純粋に退廃の権化であろうギロの「訳」なる吹き替えがアニメ(少年)声の極みであったり、など、キャラの逸脱が見られることである。つまり、”逸脱まで計算された”上でキャラ設定がなされ、描写されているのだ。全く恐ろしいことである。キャラの言動がキャラ設定に違反することまで包括的に扱えるキャラ設定。入れ子構造と言えば通りはいいが、要は論理学における自己言及であり、論理の破綻である。ここには、はじめから論理など用意されてはいないのだ。

 ドラマ部にはあまりに言及すべき要素が多いが、とりあえず「学園=いぢめ&部活」+「ドラマ=友情」=「学園ドラマ」という、小学一年生でもわかる足し算でできていることを抑えておけば間違いない。また、各人の演技に全くためらいを感じられないことに、出演者たちの人間性に問題があることを疑わざるをえない。

 そして曲であるが……んあ!?コリャだめだ。何ですか?コレ。アイドルなの?これヴィジュアル系?=c失礼。つい取り乱してしまった。音楽史的には、80年代アイドル歌謡の流れから、それが各種ヴィジュアル系の先人たちに連なる流れに合流した、と見るのが正しいかと思う。とにかく、キャッチーでありさえすればよい。そんな単純な論理が見え透き過ぎである。この潔さは、もしかしたら逆に評価に値するのかもしれないとも思うほどだ。特に1曲目の『てゆーか、チョー好き』はポップの押し売りだと感じることだろう。完全に居直っている。わざわざ曲と齟齬をきたすために鳴らされる笛の音が、耳に痛い。これを録音するに至った犯人たちの心理は、一般的なプロファイリングでは到底解き明かすことができないと思われる。最後のカラオケヴァージョンも、その心の闇の深さは計り知れない。マイナー進行でメタリックなギターリフとクリーンアルペジオが用いられた『漸増』は、ヴィジュアル系的で、むしろ安心して聞ける。この曲が最も”まとも”だと感じられることがいかに”まともではない”のか、しっかりと認識していただきたい。校歌についてはあえて言及を避けたい。もういい。

 次は同封の歌詞カードを見てみる。各登場人物の画は、あえて言うなれば普通の学園漫画風で、むしろよく書けている。よ豁書けていることの無益さを考慮しないとすれば、見逃しても良い。ただ、綾小路殺丸の刀には少し注目して欲しい。鞘の先についた、あの黒い円は何であろうか…それは少し置いておいて、用語解説のページを見てみよう。<か>の欄に「殺すけ」なる語がある。説明を読むと、「殺丸の愛刀」と書かれている。…!!つまり、さっきの刀だ。これで謎が解ける。

とにかく「殺」という字を使いたい→「殺す」→「殺すけ」→コロ助→侍→刀(車輪付)

そうなのだ。あの刀の鞘の先についているのは、紛れもなく不二子・F・不二雄作『キテレツ大百科』の登場人物「コロ助」の刀についた車輪そのものである。この単純ながら無駄に突き詰められたクオリティー。誰が評価してくれるのか、どう評価されるのか、そんなことは全く関係なくこの丸い汚物は製作されたのだろう。

 用語集にはまだ興味深い語が並んでいるので、順に分析していこう。
「民明書房館」:筋肉が支配する世界において特に有名なこの語が出てきたのは、track6の給食においてである。そこでは「ギロまん」の解説がなされるわけであるが、その出典がこの出版社の書籍『海原雄山の3分クッキング』である、という。しかしながら、ここには末らかな矛盾がある。あの海原雄山が、3分などという短時間でできる料理に関心は無いであろう事である。これにより、この書籍名は架空のものであるということが分かる。
「ときメモ」:「大事なことはすべてここから学んだ」そうであるが、これは演出ばかりのこの歌詞カードにおいて、数少ない正直な記述であると思われる。「民明書房館」「さいとうたかを」というマッチョな語と見事なまでにコントラストをなしているが、この対立の止揚の結果こそが、この『王立ミルシア学園 第一話メモリアル』という存在なのかもしれない。

 最後に、私なりの結論を出しておく。
このCDの偏差値は8もしくは92。点数は3もしくは97。
製作者はきっと狂気か天才か…いや、狂気でなおかつアホ、だな。
この作品製作者と購入者が、無事に社会生活を送っていけることを切に願っている。
(MATA☆RICA/音楽と酒)




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